チラシの効果測定は、配り終わってからでは遅い
配布前に比較単位・分母・成果地点を決めておく。これが、ダッシュボードを見ることより重要です。
チラシを5,000部配って問い合わせが10件来ても、「どの配布場所が効いたか」「紙面AとBのどちらを残すか」は、合計だけでは判断できません。全チラシに同じQRコードを載せ、配布部数も記録していなければ、配布後に分析で取り戻すことはできません。
最初に作るべきなのはレポートではなく、何を比べるために、どの入口を分けるかという測定表です。Excelやスプレッドシート1行でも構いません。次の項目を配布前に埋めます。
- 目的:認知、サイト訪問、予約、来店、購入のどこを増やす施策か。
- 比較軸:配布地域、配布場所、紙面デザイン、オファー、配布時間のどれを比べるか。
- 配布数:納品数ではなく、実際に配った部数を版・場所ごとに残せるか。
- 入口:比較単位ごとに別QR、専用電話、クーポンコードなどを用意したか。
- 成果:問い合わせ、予約、購入などを何のデータで照合するか。
- 費用:印刷・制作・配布・計測・値引き原資をどこまで含めるか。
- 期間:配布日だけでなく、反応を待つ締め日をいつにするか。
入口・サイト内行動・事業成果を、3段階で測る
スキャン数だけでも、売上だけでも足りません。途中のどこで差が生まれたかを分けます。
FLYER FUNNEL
| 段階 | 観測する数字 | 主な方法 | 差が出た時の読み方 |
|---|---|---|---|
| 入口 | QRアクセス、電話、コード利用 | QR計測、専用番号、クーポン | 紙面から行動を起こした量・効率 |
| サイト内 | セッション、閲覧、フォーム開始 | GA4、フォーム分析 | 到着後に内容が伝わったか |
| 成果 | 問い合わせ、予約、購入、粗利 | CRM、予約台帳、注文データ | 事業結果へつながったか |
QRコードで拾えるのは、QRを選んだ反応だけ
紙面を見て店舗名を検索した人、チラシを持って直接来店した人、電話した人はQRスキャンへ入りません。したがって「QRの反応率」はチラシ全体の閲読率でも、全反響率でもありません。チラシに電話番号があるなら専用番号、店頭なら版ごとのクーポンコードも組み合わせると、QRを使わない反応を補えます。
数字が落ちる地点で改善内容が変わる
スキャンが少ないなら、配布先、見出し、QRの位置、行動を促す文言を見直します。スキャンは多いのにフォーム開始が少ないなら、遷移先の内容や表示速度が課題かもしれません。フォーム開始は多いのに完了しないなら、入力項目や条件説明を確認します。3段階に分けると、紙面だけを責める誤診を避けられます。
比較単位ごとにQRコードを分け、名前に条件を残す
同じURLへ送る場合でも、入口のQRは別にします。QR名は、3か月後の自分が読める名前にします。
- 01
今回の比較軸を1つ決める
配布場所を比べるのか、紙面デザインを比べるのかを決めます。両方を同時に変えるなら、その組み合わせ単位で実績を見ると割り切ります。 - 02
比較単位ごとに別QRを発行する
「新宿駅東口」「新宿駅西口」または「見出しA」「見出しB」のように、結果を分けたい単位で1本ずつ作ります。 - 03
管理名へ条件を入れる
例:2026夏_新宿東口_A5_訴求A。場所・版・サイズ・期間のうち、分析に必要なものを固定順で並べます。 - 04
遷移先へUTMを付ける
GA4でも区別する場合は、QRごとにutm_contentなどを変えます。QR管理名とUTM値の対応表を同じ測定表へ残します。 - 05
実物を読み取り、対応を照合する
入稿前に、印刷版のラベル、QR管理名、遷移先、UTMが同じ行を指しているか確認します。

QRコードを印刷した後も行き先を変えたい場合は、静的ではなく中継型を選びます。仕組みと利用期限の注意点はダイナミックQRコードとはで確認してください。
反応率・CVR・CPAは、分母を必ず書く
同じ「反応率」という言葉でも、スキャンを数えたのか、問い合わせを数えたのかで意味が変わります。
FORMULA SHEET
| 指標 | 計算式 | 使いどころ | 注意 |
|---|---|---|---|
| QRアクセス率 | QRアクセス数 ÷ 実配布部数 × 100 | 入口への反応を版・場所で比較 | 配布部数が分かるチラシ向け。延べアクセスを分子にするなら明記 |
| 問い合わせ反響率 | 問い合わせ件数 ÷ 実配布部数 × 100 | チラシ全体の問い合わせ効率 | QR以外の電話・来店を含める範囲を定義 |
| スキャン後CVR | 成果件数 ÷ QR経由セッション数 × 100 | 遷移後ページの効率 | スキャン数とGA4セッションは一致しないため分母を混ぜない |
| CPA | 施策総費用 ÷ 獲得件数 | 1件獲得する費用を比較 | 制作・印刷・配布・計測・値引きの範囲をそろえる |
| ROAS | 施策経由売上 ÷ 広告費 × 100 | 売上回収の比較 | 売上の紐付け方法と、広告費に含めた範囲を書く |
ポスターは「配布部数」を分母にできない
ポスターや店頭POPは、何人が見たかという分母を正確に持てません。この場合、無理に反応率を作らず、1掲出日あたりのQRアクセス数、店舗・場所別のアクセス数、営業時間帯別の分布として比較します。通行人数の調査値があるなら別途併記しますが、スキャン数だけから閲読率は出せません。
架空の比較例:量が多い入口と、効率が良い入口は違う
合計スキャンの順位だけで、次回の配布数を決めない例です。
ここでは計算方法を示すため、架空のチラシ施策を置きます。A・Bとも同じ紙面、同じ週、同じ遷移先とし、配布エリアだけを変えた想定です。
SAMPLE DATA — 架空の数値
| 配布エリア | 実配布 | QRアクセス | アクセス率 | 予約 | 費用 | 予約CPA |
|---|---|---|---|---|---|---|
| A:駅前 | 4,000部 | 120 | 3.0% | 6件 | 120,000円 | 20,000円 |
| B:住宅街 | 2,000部 | 80 | 4.0% | 8件 | 70,000円 | 8,750円 |
スキャンの絶対数はAが120で上ですが、実配布部数で割るとBの入口反応が高く、予約数とCPAでもBが優位です。次回はBを増やす仮説が立ちます。ただし、地域ごとの客層や既存認知が違う可能性は残ります。「Bの地域だから必ず効く」と断定せず、同じ条件でもう1回再現するかを見ます。
反対にAは、スキャン後の予約率が6 ÷ 120 = 5.0%、Bは8 ÷ 80 = 10.0%です。同じ遷移先なら地域と商品相性、違う遷移先ならページ内容も候補になります。このように入口と成果をつなぐと、配布量だけでは見えない差が出ます。
結果は「残す・変える・確かめる」の3行にする
報告書の最終ページに必要なのはグラフの感想ではなく、次回の変更案です。
- 01
残す
比較条件の中で良かった入口・訴求・配布時間を、数字と定義付きで残します。「B地域はQRアクセス率4.0%」のように分母も書きます。 - 02
変える
次回に変更する要素を1つ決めます。配布数、見出し、特典、QR周辺の文言など、実行できる単位へ落とします。 - 03
確かめる
いつ、どの条件で再測定するかを決めます。1回の勝敗だけで固定せず、季節や曜日が変わっても傾向が続くか確認します。
CodeLyticsを使う範囲
CodeLyticsでは、比較したい配布場所・紙面ごとにQRコードを発行し、QR別の総スキャン、日時、推定地域、端末を1案件で並べられます。画面の集計はPDF・CSVへ出力できるため、入口の比較表を作る工程を短くできます。
一方、配布部数、印刷費、問い合わせ、予約、購入は自動では入りません。これらは測定表や業務データで持ち、CodeLyticsのQR別スキャンと結合します。サイト内の行動はGA4とUTMの設定手順を併用してください。
PRIMARY SOURCES
参考にした一次情報
本文は上記の公開情報とCodeLyticsの実装仕様を照合して作成しています。各サービスの画面・仕様は変更される場合があります。